spec espace 2021 A/W Collection ~第4回 様々な素材と対峙する~

23 December 2021

spec espace 2021 A/W Collection ~第4回 様々な素材と対峙する~

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鯖江の職人技術にこだわり、ものづくりをする。それは、今までもこれからも変わらずにオプト.デュオの原点にあるものだと言えます。だからこそ、素材を巧みに操る職人技と高品質な素材に注目したい。
スペックエスパスといえば、快適なフィット感を生み出すしなやかなβチタンがとてもシンボリックですが、それに様々な素材を組み合わるなど、多くのバリエーションを持たせています。例えば、終戦後に需要が高まったセルロイド、それに代わるように登場したアセテート、多様性が期待できる新素材の特殊ナイロン系樹脂など、素材や素材同士のコンビネーションを常に模索しています。


「ES-2175 col.05」 ※5色展開

「ES-2175」は、βチタンシートにアセテートリムをはめ込んだコンビネーションフレームです。艶のあるアセテート生地を使うことで、金属だけのフレームにはない透明度や色柄の表現が可能となります。各々の素材の良さを生かしながら、色や形も良いバランスで構成されています。加えて、レンズシェイプがスクエアなので、従来の同構造シリーズと比べてもすっきりとした印象を与えています。

日々のコミュニケーションを大事にしているというお二人。それぞれの素材の特徴などについて、山岸社長と齊藤さんにお話をうかがいました。

ー以前もお話に出たサングラスに使われている軽量な特殊ナイロン系樹脂とは、プラスチック素材のひとつですか?
「平たくいうとプラスチックなんですが、アセテートとは全く別のものになります。根本的に素材の扱い方が全く違って、アセテートは材料が板状のものを切り抜いて形にします。一方でナイロン系樹脂は、シート状ではなくドロドロに溶かした樹脂を金型に流し込んで造っていますので、板の切り出しでは削れないような流線形のデザインが可能です」

ー比較的に成型しやすい素材なのでしょうか?
「成型がしやすいというよりも、ナイロン系樹脂は強度の部分でアセテートに勝る素材です。ただし、艶感や透明度はアセテートには劣るので、エスパスでは、かけた時にツヤっと柔らかい印象にしたいときや高級感のある感じに仕上げたいものはアセテートを使うなどして、ラインナップの中でも素材を使い分けていますね。
特殊ナイロン系樹脂は、溶かした樹脂を型に流し込んで造るので、熱での変型にすごく強いんです。1枚のプラスチックを削り取って造るアセテートやセルロイドは、どうしても時間が経つと経年劣化や歪みが生じます。しかし、ナイロン系樹脂は比較的劣化が少なく、特にサングラスに向いている素材。しかも、強度が高いのでアセテートに比べて薄く加工できます。

ーセルロイドではなく、アセテートを使うメリットは
「セルロイドはアセテートとよく似た素材ですが、その歴史は長く、20年ほど前まではメガネに良く使われていた素材です。しかしながら、ほんの少しですが発火性があることがわかってからは徐々に衰退していきました。昔の素材を楽しむには非常に良い材料ですが、発色の良さという点では断然アセテートに部があります」

ーこれから新しく使いたいと考えている素材はありますか?
(齊藤さん)
「βチタンを超える素材は今のところあまりないのですが、、、。それに付随させるような小さな素材(例えばネジの機構など)にはすごく興味はあります」
(山岸社長)
「かつて、1970年代に流行った昭和の高級素材であるサンプラチナなどを回帰してみるのも面白いですね」

ー新作コレクションの制作について、苦労した点は?
「毎年、春秋に新型を発表するのですが、既存品に「定番」としてずっと再生産しているものも数多くあるため、構造やレンズシェイプなどが被らないように、新型と定番商品のバランスを毎回考慮しながらデザインするのはなかなか難しいところです。新型においても1つの型でカラーを何色にするとか、それぞれの色展開や形状による色構成など、様々なバランスも考えます。それが毎回、5、6型となると全体の構成を含めて、頭を抱える作業にはなりますね」

ー実際に制作を進めるうえで大変だったことは?
「ディレクションをする中で工場と打ち合わせをしながら、デザインや納期を決めていきます。デザインしたものを忠実に造ってもらいたいのですが、製造側としては安全で壊れないように造らなければ、という気持ちがあります。そうなると最終的にはデザインが変わってしまったりして、時にはこちらが曲げないといけないことも出てきます。そこはデザイン・設計を担当している齊藤が、結構苦労して工場と折衝しています」

ーコストがかかってしまった商品もありますか?
「もちろんあります。コストがかかってしまって利益が全然出ない時もありますよ。
どうしてもコンセプトとして必要な場合、お金や労力を割かなければできないモデルもあります。ただし、ユーザーが喜ぶものを造るということだけは、強い思いとして持っています」

ー現在の展示会などへの出展状況はいかがですか?
「ここ1年以上は出展を見合わせていますね。商品だけを出品する方法もあるかと思いますが、なるべく説明できる状態でお見せしたいです。通常であれば、取扱店さんに直接出向いて商品を見てもらい、お互いの顔を見ながら商品の説明ができるんですが。今後も、海外のお客さんにもコンタクトをとって、精一杯要望に答えたいですね」

ー最近のファッションの傾向は?
エスパスはユニセックスなイメージもありますが。
「本当に多岐にわたっているなって。皆さんそれぞれの好きなスタイルを模索しながら、自分に合うものを選んでいる感じはしますね。スタイルについても、これは男性用だからとか女性用だからと大きな線引きはあまりせずに、どちらかというと女性に似合うのかなとか、そんな感じで色々なモデルを試してみてほしいです」
「実はエスパスのメガネはあまりサイズ表記をしていないんですね。というのも普通のメガネと違ってフレーム自体の造りが特殊すぎるので、数字だけで判断してメンズやレディース寄りだと言われてしまうとちょっと・・・。サイズだけで手に取ったり、取らないということがないように考えています」

ーいろんな商品が発売されていますが、気になる他社メーカーさんはありますか?
「同じように薄い金属(シートメタル)を使っているブランドさんは気になります。あと、当然トレンドや今の流行りのシェイプは気にして見ていますが、どのブランドさんもラインナップの幅もどんどん広がっている気がします。それぞれのブランドに柱があって、その中でしっかりとやりたいことが表現されているモノはすごく良く見えますね」

ー購買層を広げるにはどうしたら良いでしょうか?
(齊藤さん)「エスパスに関しては、購入されている年齢層が高めになってきていて、もう少し20代、30代の若い人にも手にとってもらえるものを造りたいと思っています。僕たちはしっかりと手の込んだものを造っていると自負していても、少しばかり高級な部類に見られがちなんです。市場のスタンダードは3プライスメガネなどに偏っているのかもしれませんが、比較的リーズナブルなメガネを愛用されている方にも、注目されるアイテムを造っていきたいです」
(山岸社長)「スペックエスパスは『掛け心地』と『ズレにくさ』を両立させた機能が特徴ですが、若い人に知っていただくには、デザイン面は勿論のこと、我々がもっとプロモーションにおいても頑張る必要があるのかもしれません。しかしながら、老若男女を問わず、視力、見え方に悩みを抱えている人は多いので、『良いメガネを作ること』に真面目に取り組んでいます」
ー今後のエスパスのラインナップについて
機能的な側面を追及していきたいですし、より一層トレンドやファッション性が高いものも考えながら、ラインナップを増やしていきたいと思っています。スペックエスパスのコンセプトや柱はしっかりと守りながら、デザイン性のある多様なメガネ・サングラスコレクションを構築していきたいです。

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