有限会社オプト.デュオ 代表取締役 山岸誉 インタビュー 第1回

26 August 2020

有限会社オプト.デュオ 代表取締役 山岸誉 インタビュー 第1回

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約20年前に他のハウスブランドとは一線を画したデザインを生み出して、メガネ業界で一つの時代を作ってきた
オプトデュオ。社長を努める山岸誉さんに、ものづくりをする上で大切にしていることなどをお聞きしました。

ー今日はよろしくお願いいたします。普段お忙しくされていると思いますが、お休みの日は何をしていることが多いですか?

中学生と高校生の子供がいるんで、普段は送迎とかそういうのに追われてることが多いです。趣味で能楽を大学時代からやっていて、もう20年以上になるんですけど。

ーえっ、それは鑑賞ではなくて?

はい、プレイヤーとしてやっています。もともと歴史が好きだったので大学で民俗学を専攻しまして、その頃からですね。一応、研究者を目指して大学院のマスター(修士課程)も取得して、日本の古い風習とかお祭りとかそういう研究に没頭していました。

ーでは、どのようなきっかけでメガネ業界に入ったのですか?

ちょうど1998年頃、日本ではメガネのハウスブランドブームが起きていました。大学院を修了してこのまま研究者の道を進むか、家業のメガネを継ぐかで迷っていた頃に、ファッション雑誌なんかで父が手がけたメガネが結構掲載されていたんです。当時のオプトデュオはメガネショップのオリジナルフレームを作っていたんですが、忙しく海外出張に行ったりしている父を見て、メガネってこういう世界があるんだと気付きました。メガネの可能性を感じて、父の手伝いという形で始めたわけです。

ーデザインの勉強はどちらで?

入社した頃は、取引先の県外のメガネ屋さんに金土日だけ販売員として現場に立たせてもらっていました。当時はお洒落なメガネ屋さんが出来始めた時であって、その店ではドメスティックブランドや海外ブランドなど、有名なメガネのハウスブランドの取り扱いが豊富だったので、様々なメガネに触れる機会がありました。
その頃、鯖江市が地場産業の振興を図るために社会人を対象としたSSIDというデザインスクールを開講しました。プロダクトデザイナーで有名な川崎和男さんを専任講師として招き、生徒がデザイン演習やプレゼンをする機会があったのですが、そこに1年間参加することができました。

ーそこではどのようなことを学びましたか?

立方体を作るなどプロダクトデザインの基礎から始めて、最終的な提出課題では警備用のヘルメットをデザインしました。僕は大学院でも論文を書くことが多くて割と得意なほうだったんですが、ある時デザインレポートの課題で文章をみっちり書いて出したんです。そしたら「こんな文章を誰が読むんや。デザインの世界ではもっとビジュアルで表せ」と突き返されました。また、当時はマッキントッシュじゃないとダメみたいな時代で、デザイナーたるもの文房具にもこだわりを持てみたいな、、、。ただ、突き詰めていけば、物事の進め方っていうのは民俗学のレポートもデザインの進め方も、方法論が違うだけでまあ一緒だなと思って。まずはコンセプトやテーマをしっかり固めて作り上げていくっていう。ものづくりの考え方やデザインの進め方を学ばせていただきました。

ーとても凝縮した1年を過ごされたのですね。

週1回の講座でしたが、毎週提出しなければならない課題も多く、当時の講師陣からはメガネデザイナーはデザイナーと名乗っちゃいけないとも言われていました。全てデザインができて、その一つにメガネがあるというだけであって、メガネデザイナーという職業はないと。すでにメガネデザイナーとして実績を重ねた方や50代ぐらいの社長さんもおられましたから、中には反発する生徒もたくさんいましたね。僕は同期の生徒がたくさん残っていた方なので、なんとか生き延びられたんですが(笑)。講師の指導も厳しくて、毎年生徒が最終制作まで残るのは半分以下でした。もしも僕が生徒数の少ない時に在籍していたら辞めていたかもしれません。それほど厳しいところでしたね。
(次回へ続く)

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