有限会社オプト.デュオ 代表取締役 山岸誉 インタビュー 第2回

31 August 2020

有限会社オプト.デュオ 代表取締役 山岸誉 インタビュー 第2回

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「スペックエスパス」の魅力はやはり近未来的なスタイリング。しかし、一方で「エイチフュージョン」はクラシカルがテーマです。その相対する2つのブランドの着想はどこから来たのでしょうか。

ー ものづくりの発想はどのようにして生まれるのですか?

根本的には、機能性やスタイル面でまだ世の中に出てないものを作りたいという気持ちが強いですね。

ー それを形にするのは大変な作業だと思いますが、スランプになることは?

あ、…ありますね。コンセプトとなる「柱」さえしっかりしていれば、なんとなくその先を展開できるんですが、コンセプトをゼロから作り出すのは大変かもしれません。だから一番大事なのは、コンセプトを固めることですね。僕は世の中にないものを突き詰めたくて、概念にとらわれないちょっと違うスタイルの方が、医療矯正器具としてのメガネの広がりが見えるんじゃないかとも考えているので、流行りものとは真逆の発想から生まれるものはあると思います。

ー 逆転の発想から生まれた商品とは?

僕がこの業界に入った1990年代後半は、目の大きさに近い、細長いメガネが主流で、当時のファッションにも見られるようなカラフルなものが流行っていました。どのメガネ屋さんに行っても似たようなものが陳列されていたんですが、逆に僕はなんとなく顔を立体的に包み込むようなメガネがあったらいいなと感じていました。例えば、外科医が付けるような防護用プロテクターやシューティンググラスのような形です。

ー なんとなく想像していたものが、後のスペックエスパスに繋がったのですね。

はい、それが今のエスパスの原点になっています。2001年にスタートしたスペックエスパスは、その時代にはなかった立体的なメガネのスタイルを表現したかった。その反面で、2002年から作り始めたエイチフュージョンは、カラフルなラミネート素材を使ったモダンアートなものとは違うカテゴリーを狙って、クラシックなスタイルを追求しました。エイチフュージョンを作る時、次はクラシカルなものが流行るという兆しは、すでにあったんですが、約20年近くを経て今の時代に鑑みると、エイチフュージョンのスタイルは今の定番になっていますね。どちらかというとスペックエスパスは非定番というか。対照的な2つのブランドですが、幅広いユーザー層を獲得できて良かったと思います。

ー 革新的なデザインで人気の、スペックエスパスの世界観をもう少し教えてください。

人の顔を包み込む立体形状と湾曲したフレームから生まれる空間性にこだわりを持っています。初期のモデルはフレームに厚みのあるプラスチック生地を使い、他とは一線を画す立体感を作り出すために、カーブ形状を手作業で切り出していました。そのフレームにフラットなレンズを組み合わせるなどテクニカルな面も盛り込んだ商品で、今でもロングセラーになっているモデルです。軽くて薄いメガネが注目された時代に「こんな分厚いメガネを誰がつけるんだ」と言われましたが、当時のターゲット層である20代~30代男性には受け入れられましたね。機械では切り出せないカーブ面を、手作業で作り出していたことも支持されたんだと思います。

ー 丁寧な職人技にこだわったことが、ユーザーに長く愛される理由なんですね。

初めはブランドコンセプトの「近未来スタイリング」という世界観と「職人」というキーワードは、自分の中で背反する部分があったので、鯖江製とか手仕事という側面は隠したかったんです、、、。でもブランドには自分の意図するところとは全く違う成長が生まれることがあって。手仕事の付加価値を表に出すようになって、より人気が出たという一面もありました。
しかし、ブランドを続けていく中でターニングポイントもありました。プラスチックフレームの評判が良く、このままデザインの幅を広げていこうと考えていた2006,7年頃に、我々の技術を凌駕するような新しいブランドが他社から登場したんですね。今まで手作業に頼る部分が多かった立体的フレームが機械による新しい製造方法により超立体的なフレームが登場して、ブランドが比較されるようになったんです。もともとプラスチックだけではなく、メタルフレームも含めた奥行きのあるデザインを展開したいと思っておりましたので、ある意味ターニングポイントだったかもしれません。それで、軽くてストレスのかからない掛け心地を追求した、シートメタルタイプのスペックエスパスができたんですね。

(次回へ続く)

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