「スペックエスパスかける人」第4回 能楽師 大橋さん「毎日のお稽古」

21 December 2022

「スペックエスパスかける人」第4回 能楽師 大橋さん「毎日のお稽古」

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能楽は、室町時代より受け継がれてきた古典芸能のひとつで能と狂言の2つを総称して、そう呼ばれています。
一般的に少し敷居が高いイメージのある「能」ですが、地元福井でもプロの能楽師として活躍している方がいらっしゃいます。
今回ご紹介するのは、福井市在住の能楽師(太鼓方)の大橋さん。
舞台で見せる凛とした紋付袴姿とは違い、カジュアルな恰好の大橋さんは親しみやすい雰囲気で朗らかな笑顔で出迎えてくれました。

大橋さんは大学時代にたまたま興味を持った太鼓をずっとやり続けて、日々の研鑽を積み、周囲の推薦もあって能楽師になりました。
能楽師の家系で育ったわけでもない自分が、まさか趣味で始めた太鼓でプロの能楽師になるとは思ってもみなかったといいます。

ではなぜ、囃子方の中でも太鼓を選んだのかというと
―「なんといっても太鼓の先生がカッコよかった。それに大学では太鼓をお稽古している人がいなかったから、というのが理由でした。笑」

現在、福井県では6人の能楽師が活躍しています。
シテ方(主人公を主に演ずる)が2人、囃子方は大橋さんを含む4人(大鼓、小鼓が各1人ずつ、太鼓が2人)です。
能は、簡単にいうと個々の分業制で成り立つ演劇です。
謡(うたい)と演技を担当する立方はシテ方・ワキ方・狂言方の3つの役から成り、伴奏担当の囃子方は笛・小鼓・大鼓・太鼓の
4つの楽器で構成されます。

太鼓方には、観世流と金春流の2つの流儀がありますが、観世流の太鼓方の女性は大橋さんただ1人。
忙しい能楽師は1年先まで公演のスケジュールが埋まっていますが、習い事として一般の人でもプロに教わることができます。

実はオプト.デュオの山岸社長も月に1、2回は大橋さんから太鼓の手習いを受けています。

テン、テンという太鼓の音と
「ハァ、イヤー」という掛け声で稽古が始まりました。 

共に大学時代に能楽サークルに入っていたという共通点がある2人。
謡本には、流れるような謡(うたい)の文字が並んでおり、〇△記号、添え書きしたメモなどがびっしりと書き加えられています。

謡本は能の教科書のようなもの。  
 

素人には何が書かれているのか、さっぱりわからなかったのですが、それよりも、近眼だという大橋さんにとって謡本の小さい文字はかなり読みづらいのでは・・・? 
―「慣れるとわかるようになりますよ。でも、生徒さんに教えている最中にどこまでやったかわからなくなるといけないから、メガネは必需品ですね」

普段から愛用している、スペックエスパスの使い心地や感想はというと、
―「視力は0.04のド近眼なのですが、今は遠近両用のメガネをかけています。このメガネはお稽古で謡本を見ながら拍子をとる時も、本当に視界に違和感がないんですよ」

ところで、能の演目はいくつあるのでしょうか。
その数はなんと200曲近く。
そして、演奏する曲の打音と掛け声の組み合わせを「手」、または「手組」と呼び、発声の強弱などでも多彩な表現が生まれます。
手組の種類は流派によって異なりますが、基本だけでも太鼓は50種類、大鼓は100種類、小鼓は200種類ほどあるそうです。
囃子方は専門職なので、他の楽器に打ち換えすることはありませんが、それぞれの楽器の手組や演目全体の流れが頭に入っていたほうがより舞台がうまく運ぶものなのだそうです。
そのため、例え太鼓方でも謡やシテ方の動きを勉強する必要があり、大橋さんも毎日の稽古を欠かさないといいます。

そこで、芸事に対する姿勢についてお聞きすると「やはり何事も真面目に取り組むのが一番」とのこと。
たしかに、平素の心掛けが太鼓の音にも影響してしまいそうです。

忙しく日常を過ごす人に、お稽古は己と対峙する時間を提供してくれるものだと感じました。
能を通して、太鼓の響きや心地よい空気を体感してはみてはいかがでしょうか。

一番左が大橋さん

大橋 紀美さん
公益社団法人能楽協会に所属する能楽師(観世流太鼓方)。
金沢大学在学中に能に出会い、麦谷清一郎師に太鼓を習い始める。夫の転勤や子育てにより10年間中断したが、35歳で稽古を再開。事務職を続けながら、51歳でプロの能楽師の道へ。現在は舞台に出演する傍ら、子供達に能楽の楽しさを伝え、後進の育成にも力を入れている。

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