オプトデュオのクリエイティビティを支えるクラフトマンたち<br> ~染色職人~

30 April 2020

オプトデュオのクリエイティビティを支えるクラフトマンたち
~染色職人~

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スペックエスパスの仕上げの前段階に当たる「塗り」。
あの、見事な色のコントラストは、最新の塗装技術と繊細な手仕事が
組み合わさって完成していたのです。

今回ご紹介する株式会社美装ジャパンは、
主に電気メッキや電着塗装、吹き付け塗装などを得意とする会社です。
社長の野村さんは、以前ベータチタンモデルの単色(1色)の
色付け加工を担当し、その後も開発に携わるようになりました。

株式会社美装ジャパン 代表取締役社長 野村勝人さん

そもそもベータチタンは、表面が目には見えない
酸化膜で生成されており、それが錆びない性質を生み出します。
しかし色付け加工をするには、酸化膜を剥離しないと
メッキや塗装が付着しにくく、着いたとしても剥がれやすい
ちょっと厄介な素材です。

チタンの表面の酸化膜を剥離させてからメッキ加工、電着塗装を施して、全体の染色へと進みます。そこまでの工程でおよそ1週間かかります。

それから手塗りして、はみ出た部分の修正、乾燥、吹き上げ、検品と
全ての工程を終えるまでに約3週間から1ケ月を要するという
非常に手間のかかる作業を繰り返します。

2色展開のスペックエスパスは、
機械の切削によって出来た段差部分の色を残し、表面だけに彩色することで、
表裏の色の違いや2色のコントラストが楽しめる商品。
通常の印刷や樹脂加工と違って、電着の樹脂自体に染料を浸透させるため、
透明感のあるカラーになり、表面がフラットで美しい仕上がりになります。

中でも一番苦労したのは、フレームのレンズ下のわずか幅0.7ミリに
染料を手塗りすることでした。チタンにダイレクト塗装するではなく、
下地の色に塗料を含浸させるため、はみ出してしまうと変色の原因になり、
塗り方にバラつきがあると、色ムラができてしまう。
細い竹串を使って均一に染料を塗るのは、本当に至難の業。

ヒンジレスといった特殊な形状だけに、
手作業で色付けするためのジグ(固定するための道具)がなく、
クリップと爪楊枝で眼鏡を固定しながら、竹串で慎重に色を塗っていきます。

「シートメッキに、この細さを手で塗ってくれと言われても、
ものすごく時間がかかるのでどこの会社もやらないでしょう。」と
今は話す野村社長ですが、
眼鏡の表面を職人が竹串で1枚ずつ塗っていくという
あまりにも手間のかかる作業に
「初めはもう、できる訳ないなって感じで。
でも出来ないとは言いたくない…。」と
注文を受けた当初は難色を示したそうです。

塗料を程良く吸い取ることやしなりがあることなど、
様々な道具を試すうちに最も使い勝手が良いのは、京都産の竹串だと分かりました。

作業工程を模索しながら半年ほど経った頃、
ようやく納得できるものを量産するところまで辿り着きました。
完成した商品の手ごたえはあったものの、
新生スペックエスパスが世に認められるかどうかはわからない。

ー「だから展示会で高評価をもらえたと聞いた時は嬉しかった。
失敗を考えるよりも、成功させるにはどうしたら良いかを
みんなで考えた結果ですね。」

クリーンルームで集中して細かい作業を続ける女性たち。
根気のいる作業は女性の方が向いているのかも?

仕事をする上で大切にしていることは?
ー「21歳でメッキ加工会社から独立し、5人の仲間でこの会社を立ち上げました。
その当時から眼鏡のメッキをさせたら一番だと言われたいという
気持ちが心の中にありました。」

これからのオプトデュオに期待すること

ー「オプトデュオの特徴はデザインと企画力。
もうちょっと斬新なものがあってもいいのかな。
斬新な色使いに挑戦して、えっ、こんなことやるのって世間を驚かせてほしいです。」

メッキ塗装の世界で一番になろうという強い気持ちで、会社を引っ張ってきた野村社長。
時を同じくして、オプトデュオも世界に通用するプロダクトを創ることを
目標としてきました。
誰かに認められるためには、難しくてもまずは挑戦してみるということ。
その想いが付加価値のある眼鏡を生み出したのです。

株式会社 美装ジャパン
鯖江市平井町42-2-16
0778-62-0012

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