大阪府立大学 吉井泉准教授インタビュー 第3回

31 July 2020

大阪府立大学 吉井泉准教授インタビュー 第3回

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【自分にあったメガネを選ぶ基準】
 これまで、視力矯正の重要性についてお話をしてきました。私は大学で「行動と視機能」という講義を開講していますが、「視力矯正の方法と留意点」という回は大変好評です。検眼の方法と、メガネ、コンタクトレンズ、レーシック、オルソケラトロジーについてそれぞれの特徴と留意点について解説しています。数年前からはカラーコンタクトレンズについても取り扱っています。この回で毎年受ける質問は、「メガネをかけるようになった後、視力が下がっていきました。なぜですか?」というものです。これに対し、「キチンと検眼され、自分の顔かたちにあったメガネを選び、ていねいにフィッティングされていれば視力が悪くなることはありません」「それでも視力低下が起こるのは、近視になるような習慣が改善されていないからです」と回答しています。またメガネの選び方や留意点については、「ほとんど知らなかった」「誰も教えてくれなかった」「もっと早く知りたかった」というコメントもあります。一般の方を対象にした講演でも、ほぼ同様の反応です。このことから、一般的にはメガネに関する情報を得る機会がなく、誤った理解がされていることが多いと感じています。せっかくメガネを作ったのに、自分に合わないメガネやフィッティングが丁寧にされていないメガネ、誤ったケアの仕方などによって、かえって視力の低下を招くこともあります。
 メガネ選びとフィッティングは本来とても繊細なもので、検眼の際のテストレンズと、実際に購入するメガネによって、眼までの距離が違うだけでも影響がでます。また、デザイン性を重視して、調整することが難しい素材のメガネや不十分なフィッティング状態では、装着中にズレが生じやすくなります。このような点から、メガネのフィッティングはとても重要です。使用者にとってベストなフレームの形状やサイズまた素材は、そのニーズや使用シーンによって違います。そこに明確な基準を示すことができたら、好みのデザインや価格なども考慮することで、ベストなメガネ選びができるようになるのではないでしょうか。その基準のひとつに、私は「ズレにくさ(フィット感)」があると考え、「メガネのズレの数値化」の研究を進めています。メガネの機能性が数値化されて基準にすることで、モデルごとの比較が可能になれば、スポーツや普段使いなど、ニーズや使用シーンに応じたメガネの提供や選び方ができるようになりますよね。私たちの日常生活やスポーツに貢献できればと思います。頑張って取り組んでいきます。

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