大阪府立大学 吉井泉准教授インタビュー 第2回

27 July 2020

大阪府立大学 吉井泉准教授インタビュー 第2回

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【視る力を高める】
 「視る力」は、視力(静止視力)、眼球運動、動体視力、立体視など多くの機能の総称で「視機能」といわれます。この視機能をフル活用することが求められるのがスポーツです。スポーツ中継の解説などで、「ボールが見えている」「視野が広い」といった直接的なコメント以外でも、「ヘッドアップしている」「タイミングが合わない」「マークを外す・裏をつく」など、プレイと視機能との関係を意味することが多いことからも、スポーツにおける視機能の重要性が理解できると思います。つまりプレイの成否の大部分は、視機能に関連しているといえます。
 スポーツ動作の大部分は「見る」ことを情報にしているため、視機能が動作をリードしていると考えられます。しかし実際は、「どう動くか」、「どう動いたか」に指導の主眼が置かれ、「どのように見ているか」については、あまり重視されていないのが現状です。また、競技能力の高い選手は、体力や技術、メンタルを駆使してプレイできることから、本人も指導者も「視る力」に意識を向けることは多くありません。
 各スポーツの競技特性によって、関与する視機能とその重要度は異なってきますが、野球、卓球、バドミントンのような小さくて高速のボール(シャトルコック)を用いる「small ball & fast ball」スポーツでは、特に視機能の影響を受けると考えられます。このことから、視機能の差がパフォーマンスに直結すると言えます。特にトップアスリートになれば、ただボールを打ったり捕ったりするだけでなく、より正確なポイントやタイミングが求められます。ハイレベルの競技では、そのわずかな違いが勝敗を左右してしまいます。このことから、体力、技術やメンタルの強化に加え、近年トップアスリートを中心に、視機能の測定とトレーニングが行われることが多くなり、測定の結果、競技成績と視機能には相関があるという報告もあります。
 スポーツパフォーマンスは、様々な要素で決定されることから、視機能が高いことが十分条件とは言えませんが、パフォーマンスを向上させるための必要条件であることは間違いありません。視機能の中でも、視力はその基礎的能力であり、その優劣が他の視機能に大きく影響します。しかし、本人も指導者も視力、矯正についての関心・意識が低いのが実状です。この視力はトレーニングできないことから、メガネやコンタクトレンズで適切に矯正することが、他の視機能の改善につながります。加えて視機能トレーニングをすることで効果が高まり、ひいてはスポーツパフォーマンスの向上につながります。

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